SAIL meets ART

人生に本当の心地よさと美しさをもたらすセルフケアブランドでありたい。
そう考えるSAILが、みなさまの生活をより素敵なものにできたらという想いで、新しいプロジェクトをスタートします。
その名も「SAIL meets ART」。

大好きな場所があること、美味しいと思えること、美しいと感動すること、心から安心できること。
世界にはわたしたちを心地よくしてくれるもの、輝かせてくれること、がたくさん存在しています。
SAILを知ってくださる方々が、それらに触れるきっかけを生みだすため、多くのアーティスティックな人物や事柄と繋がり、
様々な情報を発信し、表現やコミュニケーションを作り出していくプロジェクトです。

SAIL Photography by____________

プロジェクト第一弾となる、「SAIL Photography by」はクリエイティブディレクターにフォトグラファーKINYA氏を迎え
年2回、彼がピックアップしたフォトグラファーの方々がSAILの製品を独自の感性でとらえ、表現を制作します。
公式サイトのジャーナルで、作品とそれぞれのインタビュー記事を公開し、合わせて公式インスタグラムでも作品を順次公開します。
それぞれのフォトグラファーが普段、どのような感覚で作品をつくりだしていているのか、
また今回SAILの製品や、香りをどのように捉えて作品に落とし込んだのか。
さらには、最近気になっていることや大切にしていることなどもインタビューすることで、トップクリエイターの思考にも迫ります。

黄瀬麻以 / Mai Kise

1984年京都府生まれ。2014年から約2年間をサンフランシスコとオレゴン州ポートランドで過ごす。
雑誌や広告を中心に、フリーのフォトグラファーとして東京を拠点に活動。
Instagram: @kisema1

香りと、旅と、「New Day」

初めて「New Day」の香りを嗅いだとき、その名前の通りフレッシュな感覚になりました。爽やかで、何かの始まりを感じるような。一日の始まりに、気分を変えたいときに……人それぞれシーンは異なると思うけれど、旅先で感じることに似ているなとも思いました。

私にとって「旅」とはいつも、マインドを更新する一つの方法です。そういった意味でも、旅と「New Day」の香りは似ているんじゃないかと思って、同列に並べてみようと考えたんです。そこで、サンフランシスコとポートランドに滞在していた頃に撮影した写真をピックアップして、物撮りのカットとコラージュすることにしました。

「New Day」って、朝にも夜にもいえることだと思う。太陽が昇るのも“始まり”だし、陽が沈んで、次の日のために何か気持ちをスイッチするのも“始まり”。だから、商品を撮影するときは、朝陽または夕陽のどちらかの斜めに差し込む光のもとで撮影したんです。その写真を旅先で撮った朝と夕方の写真と組み合わせたり、また、商品パッケージに貼られている丸いシールの色がとても心をくすぐるポイントになっていると思ったので、シールの色味にフォーカスして写真をセレクトしたりしました。

環境を変えると、マインドも変わる

私は普段、家にこもって考えることはあまりしません。すごく疲れているときは休みますが、家でダラダラするのは3時間が限界で(笑)。“環境を変える”ことがマインドに大きく影響していると思います。天気が良ければ朝6時頃には起きて、一人でどこかへ。特にドライブが好きで、山などの自然がある場所に向かいます。運転しながら見ている景色が変化するにつれて、思考も変わっていくのが自分でもわかるんですよね。その時間がすごく好きで。何かをしに行くというよりも、ただドライブして、美味しいものを食べて帰ってくる……そんな感じです。

でも実は、自分の作品として考えるとき、日本の風景を撮りたいとは全然思えないんです。もちろん日本は大好きですが、被写体として上手く撮れないと感じてしまう。海外の人が撮る日本の写真のように魅力的に撮れないというのも一つの理由ですし、日本独特の湿度感なのか、そこにある“陰と陽”という気配のせいなのか、自分の生まれ育った国だからこそ、その土地の背景を考えたり、感じすぎているのかもしれませんね。いまだに上手く撮れない。海外に行くと、「わ、すごいきれい!」と初めての感動だけで素直に撮れたりします。でも、いろんなことをひっくるめていつかもっと人間として大きくなれたら、日本を撮ってみたいです。

そんな理由から、これまで1年に2カ月ほどは休みをとって、海外に行くようにしていました。数日間の旅行も多くの経験がありますが、一方で、いいところだけしか見たり感じたりしていない場合もあります。でも、1、2年滞在できるとなれば時間にも多少の余裕ができて、もう少しその土地の内部が見えてくると思う。ローカルな人々の生活に接すると、より深い気づきがある。そのことによって、自分が生まれた日本とはどんな国なのか、と考えるきっかけにもなるのではと思います。その経験は自分にとってとても大きかったです。

ちょっと“変なもの”に目を向けて、撮っていたい

私が写真を始めたきっかけは、もともとはテレビ番組の制作に関わりたいと思っていたのですが、大学受験で写真学科しか受からなかったからなんです(笑)。ところが、いざ写真をやり始めたら、化学的な要素もあれば、記録としての要素、絵的な要素……と、いろいろな深さがあって、写真がすごく面白くなってしまった。気づけば、「写真でごはんを食べていきたい」と考えるようになっていました。

撮影するときは、やっぱり、自然光を大事にしています。仕事では照明機材も使いますが、自分の作品撮りでは自然光のみ。とにかく荷物を少なくして、行き先を決めずに自転車や徒歩で撮るのが好きで、アメリカに2年ほど住んでいたときも携帯とチャリンコ、それと時々ビールがあれば、それで十分!という日々を過ごしていました。その合間に、光がいいときに写真を撮る、という感じです。

それと、カメラを向けたいと思う瞬間は、変なものや変な人を見つけたときです。“変”というのは、つっこみたくなる感じといえばいいでしょうか。私は京都の生まれなので、関西人の血なのかもしれませんね。一つのたとえですが、服のサイズ感が本人に合ってないな……とつっこみたくなる若者とすれ違って、「私だったらそれは選ばないな」と思うことがある。そうやって、この人は何を考えてるのかな、自分とは違う感覚を持ってるんだなと感じると、声をかけて写真を撮らせてもらいます。そしてその違いをとても魅力的なことだと感じます。

自分で撮った写真をあとで見返してみると、ただ「気持ちいい!」と思う写真ではないんですよね。例えば自然を見て、美しいな、素敵だなとはもちろん思うのですが、その瞬間に自分の目で見ている以上のものを、私は撮れない。それよりも、少し不思議に感じる風景、例えば、アスファルトからちょろっと生えている草とか、人のまばたきの瞬間とか、そういうものを撮っているなと改めて見て思います。素直ではない(笑)。

今年はどこかのタイミングで写真展をやりたいですね。展示も一つの大きなコミュニケーションツールだと思っているので、見てくれる人に感じてもらえる何かを入れ込みたい。気づきがあったり、ハッとさせられるものだったり。何かを持ち帰ってもらえるようなものができたらいいなと思っています。

最近気になる7つのこと

1. 面白かった映画
Netflixオリジナル『マリッジストーリー』
2. よく聞いている音楽
ダイアナ・ロス『I’m Coming Out』
3. 好きな本
マリーン・シェルドレイク『菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力』
安田佳澄『フールナイト』
4. 注目しているアーティスト
特になし
5. お気に入りの場所
八ヶ岳周辺
6. 最近買ったもの
KINTOのタンブラー
7. 気になっている撮影機材
Linhof 4×5もしくは中盤のデジタルカメラ
リーバイ・パタ+黄瀬麻以 ANOTHER SUNSET 
発行日:2016年9月
インタビュー:中村志保

1982年生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。ロンドン大学ゴールドスミス校でファインアート専攻後、メディア学修士修了。 「美術手帖」「ARTnews JAPAN」編集部などを経て、フリーのエディター・ライター。

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